2015年11月8日日曜日

サッカー日本代表のロングボールを読み解く(ちょっとだけプレビューも)

アフガニスタン戦、シリア戦と低い位置からのロングボールを入れる形が多くなっている。
このロングボールの多用のきっかけとなったのは、シンガポール戦での苦戦から始まっており、
ロングボール(ダイアゴナルのパス)を効果的に使い相手守備ブロックをうまく越えていこうというのが元々の主旨だった(と思っている)。
※参考
ロシアワールドカップ予選AWAY アフガニスタン戦 雑感 ~ある意味リベンジ~
http://same-frequency-football.blogspot.jp/2015/09/Afghanistan-a.html

ロシアワールドカップ予選AWAY シリア戦レビュー ~ビルドアップは省略される~
http://same-frequency-football.blogspot.jp/2015/10/Syria-a-review.html

ダイアゴナルのパスについて
ロシアワールドカップ予選 シンガポール戦 雑感 ~壁を越えよう~
http://same-frequency-football.blogspot.jp/2015/06/blog-post.html


このロングボールの多用から、ハリルホジッチが、ビルドアップをどう考えているかを探っていきたい。

さて、まず、低い位置からロングボールを高い位置へ入れるということは、どんな利点・欠点があるのだろうか。

利点
1.早くゴールに近い位置へボールを運べる
2.相手の守備ブロックを越えることができる。
3.長いボールを入れた後で、相手ボールになっても、プレスをかけて奪い取れば、高い位置でマイボールとなる。
4.相手のプレッシングがきついときに、簡単にプレッシャーをかわすことができる(ボールの落ちた先で、デュエルがはじまるが)

欠点
1.早く攻めることになってしまう。短いパスを繋ぐ場合に比べボール支配率が劣る場合が多い。(守備の仕方にもよるが)
2.蹴った先で、相手のCB等いわゆるディフェンスの強い選手と対決しなければならない。

ちなみに、構えている相手ディフェンスに対し、短くパスを繋いで攻撃する場合と長いボールを入れて攻撃する場合の苦労は、種類は違えど変わらないはずである。短くパスを繋いでいく場合は、相手を1ラインずつ攻略していく必要があり、それには、パススピード、精度も必要となる。対して、長いボールを入れた場合は、相手もそれに競り合ってくるので、ボールを回収するフィジカルが必要になってくる。

さて、話を戻して、次に移ろう。ロングボールの利点・欠点をあげたところで、実際の試合では、どのように使われていたかというところだ。こんな感じで使われていた。

1.相手が、どんびいてきて、それを崩すための一手としてのロングボール
2.ビルドアップを省略するためのロングボール


1.場合は、ポジティブな解釈で済むが、2.が今回の考察の核心となり、ここに、ハリルホジッチ監督がビルドアップをどう考えているかが、透けて見えるはずである。
すなわち、
(短いパスでの)ビルドアップはあまり求めていないのか、
それとも、
(短いパスでの)ビルドアップが上手くいかないので、対処的にロングボールを用いているのかだ。

縦に速い攻撃を標榜するのなら、時間のかかる短いパスでのビルドアップは避けたいはずである。
一方、アジアでは、ボールを持たされることも多く短いパスで丁寧に崩していかなければならないシーンも多いだろう。

さて現状はどちらだろうか、

と思っていた矢先、
シンガポール、カンボジア戦メンバー発表会見で、柏木について述べているコメントで興味深い発言が見られた。


少し新しい選手なのが柏木だ。組み立てから参加してほしいと思っている。そして左利きだ。フィジカル的にモンスターというわけではないが、デュエルもしてくれる。特に後ろから組み立てる能力がある。彼の運動量とゲームビジョン、パス、そして左利きという特徴。他の選手は右利きなので、攻撃面に関してしっかりバランスを取ってくれる選手だ。中盤に左利きの選手がいてくれるのは面白いことだ。フリーキックにも影響するし、彼にはとても期待している。われわれのビルドアップの場面でテクニックをもたらしてほしい。中盤の低いところから、FWにつなげていってほしい。浦和ではかなり引いてボールをもらいに来るのだが、われわれはできるだけ高い位置でボールを受けなさいと話をしている。オフェンシブな選手、FWに近づきなさいと言っている。そして彼はゲームビジョンも面白い。DFを背負っていても、フリックで背後にボールを送ることができる。そういった選手は少ないし、ボールを受ける前にたくさんのアイデアを持っている。自分の前の選手たちと連携を持てる選手だ。
シンガポール、カンボジア戦メンバー発表
http://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201511050004-spnavi?p=2 より引用


これを読むと、ビルドアップを柏木という選手によって変えようとしていることがわかる。
このことから、導き出されることは、ビルドアップを省略するロングボールについて、改善の必要があると考えているということだ。

■結論
今までのビルドアップを省略するようなロングボールは、対処的なものであり、
今後は、ビルドアップを改善していく方向に舵をきる、
ということが、ロングボールとコメントを追って行くことで読み解けた。


■おわりに
欧州サッカーを見てもロングボールだけで組み立てをすることは稀だし(いや、某ミランとか結構そうだったんだけど)、(短いパスでの)ビルドアップと両方できるというのは、大事なことである。そもそも、世界トップレベルと比べ、身長やフィジカルで劣るといわれている日本が、競り勝つ必要性の高いロングボールに頼るのは、ワールドカップ出場を睨むと現実的ではない。
ただ、アジアの現状、例えば、シンガポールやカンボジアが相手の場合は、フィジカルで日本が勝るということが起こりうる。その際は、ロングボールの有効性は格段にアップする。


シンガポール戦、カンボジア戦のプレビューとなるが、ビルドアップを柏木経由にするのかしないのか、もしくはロングボールを程よく混ぜていくかによって、試合の展開が大きく左右されることになるだろう。
シンガポール戦、カンボジア戦はこの点に注目したい。


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